教えて後藤社長!空調設備の基本と選び方について

空調設備は空気調和設備の略で、エアコンを代表する冷暖房設備とは分けられます。
空気調和設備も温度や湿度を扱いますが、他にも空気清浄や気圧の管理も行う点が冷暖房設備と異なります。
冷暖房設備は名前の通り冷房と暖房が主な目的ですし、空気清浄機能を有する製品もありますが主流ではないです。
それから気圧まで調整する機能は有していないので、この点が空気調和設備との大きな違いとなるでしょう。

空気を調和して快適な空気を作り出す設備

空気調和設備は空調設備と略されることから、換気扇のような単機能の設備だと誤解されがちですが、正確には空気を調和して快適な空気を作り出す設備を指します。
主に環境で過ごす快適性に比重を置いた空気調和のことを、保健用空調といいます。
保健用空調はオフィスや商業施設、あるいは宿泊施設や病院などが対象で、学校にも設置されていることが多いです。
暑すぎず寒すぎない20度台前半で湿度は55%くらい、空気清浄はフィルタを通して気圧はほぼそのままという感じの空気が作り出されます。
産業用空調は湿気を嫌う金属や電子機器、温度変化が品質の低下に繋がる植物などの管理に用いられます。
保管場所や生産工程が主戦場ですから、倉庫や工場が産業用空調の設置場所となります。
温度上昇と高湿度がNGなサーバールームも、一種の産業用空調ということができるでしょう。

空調設備の3つの目的

空調設備には主に3つの目的があって、それぞれ熱源設備と熱搬送設備、空気調和設備に分類されます。
熱源設備はボイラーや冷凍機を使って熱を生み出したり、冷気を発生させて温度調整に役立てられます。
熱搬送設備は熱を発生させるのではなく、熱の移動によって空気調和を行うもので、いわゆるダクトやポンプがそれにあたります。
空気調和設備は一般家庭でもお馴染みの除湿機や加湿器に加えて、加熱や冷却を行うコイルも含まれます。
ホコリや粉塵を取り除くエアフィルタもそうですから、空気調和設備は複数の機能を組み合わせて高度に空気調和を行う設備だと分かります。
余談ですが、冷暖房設備の代名詞ともいえるエアコンは、室外機のヒートポンプを使って冷房や暖房を作り出す仕組みです。
換気扇のように室内外の空気が入れ替わることはないので、汚れた室内の空気を綺麗にする空気清浄機能は基本的に持たないです。
ただし、メーカーによっては独自の機能として、空気清浄や加湿を行う製品も展開しています。

一般家庭が冷暖房設備の導入を検討する場合

一般家庭が冷暖房設備の導入を検討するのであれば、一部の厳寒地を除いてエアコンを選ぶのが賢明です。
エアコンは省エネ性能が進化していますし、コストが抑えられているので、低価格帯の製品でも高性能なものが選べます。
賃貸住宅だと導入のハードルは上がりますが、戸建住宅なら比較的導入しやすいと思われます。
エアコンの導入における最大のハードルは室外機で、室外機を設置しても問題がないか、壁の穴開けを含めて確認することが大事です。
また空気清浄機能を持たない設備を導入するなら、換気扇と併用する運用を行う必要があります。
窓開け換気でも換気量が十分なら問題ありませんが、いずれにしても室内外の空気を入れ替えずに冷暖房だけを行うのはNGです。
空気調和の意味での空調設備を導入する場合は、目的や空気調和を行う範囲、具体的な設計や設備の選定などを段階的に進めていくことが大切です。

建物全体の空気調和を行う全館空調

建物全体の空気調和を行う全館空調は、一括管理できるメリットはあるものの、大掛かりで導入コストも高くなります。
全体的な空気の流れも考える必要がありますし、本当に全館空調の選択が理にかなっているか、シミュレーションしたり導入効果を検証することが欠かせないです。
一般家庭の冷暖房設備もビルなどの空調設備も、仕組みがシンプルで機能が限られる方がコストが抑えられるのは共通です。
それと、過剰性能にならない用途や環境に適した設備を選択すること、これも無駄を減らしコストの増加を防ぐポイントになります。
温湿度と空気清浄まで行う空気調和は、必然的に必要な機能が多く性能も高いものが求められるので、コストが高くつくことが避けられないです。
しかし計画的に必要十分な設備を選び導入することは重要で、企画や設計の段階にしっかりと時間を掛けるかどうかが結果に響いてきます。
オフィスや倉庫、工場並みの多機能な空気調和を一般家庭でしかも1台で実現するのは困難ですが、市販の製品も組み合わせれば空調設備が再現できます。

まとめ

冷暖房はエアコン、湿度のコントロールは除湿機と加湿器で、空気清浄は勿論空気清浄機があてはまります。
ただこれらを連動させて常に快適な空気を維持するのは難しく、住宅の設計も快適性に影響しますから、やはりオフィス並の快適性を実現するハードルは高いといえるでしょう。
逆にいうと空気調和設備を有するオフィスの快適性は本物で、相応のコストが掛けられているのは間違いなく、設計の段階から建物に合わせて設備の導入が考えられているのは確かです。

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株式会社太平エンジニアリング 代表取締役社長 後藤悟志